バラとポーセラーツ Vol.1|愛される薔薇の秘密


ポーセラーツに親しむ方にとって、人気の高いモチーフと言えば「薔薇」ではないでしょうか?

美しいバラが絵付けされた陶器に、心掴まれてきた方も多くいらっしゃるかと思います。アンティークテーブルウェアの世界に魅せられて、ポーセラーツを始められたという話もよく耳にします。

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白磁に描かれるバラのテイストはさまざまですよね。実写にイラスト、線画やシルエットなど。種類も、ひと重だったりオールドローズだったり、つぼみなどバリエーションに富んでいます。

飾っても使っても華やかな気分を味わえる、ポーセラーツで人気の薔薇モチーフについて、もっと深く知ってみませんか?

ポセナビでは「バラとポーセラーツの世界」を、全3回にわたってお届けします。

第1回目は、優雅なバラを取り入れたポーセリン作品について、その歴史を紐解きながらご紹介していきます。時代を超えて私たちを魅了する、白磁とバラの組み合わせ。そこには奥深い関係が隠されていますよ。

バラと白磁の出会い

薔薇が白磁のモチーフとして使われ始めたのは、18世紀フランスのロココ時代までさかのぼります。

それまで西洋で好まれていた柄は、当時のヨーロッパでは貴重だった東洋の植物でした。
実を多く付けるザクロは、子孫繁栄の象徴として、まっすぐに伸びる竹は、不老長寿の意味を持つ縁起物として人気がありました。バロック様式と呼ばれる文化の中で、異国情緒あふれる東洋磁器は、ステータスのシンボルでもありました。

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ロココ時代に入ると、それまでの荘厳で重厚な雰囲気に変化が訪れます。余裕やゆとりを感じさせる、繊細で優美なインテリア装飾が流行の最先端に。

磁器の世界でも、女性らしさや優美さあふれるデザインが中心になります。ピンクや水色といった、明るくやわらかな色が好まれ、曲線や丸みを帯びたデザインが多様されるようになります。植物も、西洋の花が中心になり、中でも薔薇のモチーフは最も人気を集めていました。

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薔薇はギリシャ神話で、愛の女神アフロディーテ誕生の際に舞っていたとされ、愛と美のシンボルとして好まれました。
また、キリスト教における薔薇は、聖母マリアの花とされ、神への愛を表す「純潔の花」とも呼ばれます。そのような背景から、バラ柄の器は女性の美しさをより輝かせるアイテムとして、ロココ時代のサロンで広く愛されるようになりました。

心ときめく「ウィーンのバラ」

フランス王室発祥の「ウィーンのバラ」というシリーズをご存じでしょうか。

薔薇の絵付けが美しく、日本でも有名な、マイセンの次に古い歴史を持つ磁器工房「アウガルテン」で作られてきた高貴なパターンです。

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ハプスブルク家の女帝である、マリア・テレジアはロココ様式の愛好者で、宮殿内をロココ調の陶磁器で飾っていました。マリア・テレジアによって、王室直属となった工房がアウガルテンです。
ハプスブルク家の紋章を、商標として使うことが許されたアウガルテンは、それ以降「ウィーン窯」と呼ばれるようになりました。

ウィーン窯が、王室の銘を受けて生み出したのが「オールド・ウィナー・ローズ」と呼ばれる作品です。ティーカップやプレートの中央に1輪の薔薇が配置され、ふちにピンクのラインがあしらわれたデザインです。

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Rosery(ローズリー)

のちの皇妃エリザベートの時代には、ふちにグリーンのラインが使われるようになりました。そちらは「ウィナー・ローズ」と名付けられ、これらのシリーズを総称して「ウィーンのバラ」と呼びます。シンプルながらも薔薇の映えるこのパターンは、余白の美を私たちに感じさせてくれます。

現在ではアウガルテンから、ヘレンドがその技術を受け継いでいます。ポーセラーツの世界でも人気を集めるこのデザインは、当時から今日に至るまで、薔薇と白磁を愛する人々から愛され続けています。

アンティーク仕様が美しいバラのポーセラーツ作品

ここからは、ヨーロピアンアンティークを彷彿とさせる、薔薇柄のポーセラーツ作品をご紹介します。くつろぎのアフタヌーンティーを彩る、美しい作品にあなたも心躍らせてみませんか?

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堺市~ROSE PIU FELICE~

先ほどご紹介した、ウィーンのバラをイメージして作られたローズピンクがエレガントなティーセットです。
フリルのように、柔らかな波を描く飲み口とプレートの形が特徴的ですね。ソーサーとカップを縁取るピンク色のラインは、転写紙を円状の形に合わせて、コンパスカッターでカットしています。このようにして貼り付けると、継ぎ目なく美しい仕上がりになります。

華やかな香りに包まれながら、お気に入りのカップでいただく紅茶は格別ですね♪

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InfiniRose(アンフィニローズ)

花々を取り入れた、エレガントで色彩豊かなロイヤルアルバート風のカップ&ソーサーです。

こちらのカップとソーサーは、元からセットではなく、それぞれイメージに合うものを選ばれています。表のライラックカラーに、内側のアイビーローズが可憐でフェミニンな雰囲気を演出しています。縁と持ち手にあしらわれた金彩が、上品な輝きを際立たせていますね。

アンティークコレクションの世界では、上下で別々のデザインを組み合わせるミックスマッチという楽しみ方があります。これは、長い年月の中でカップとソーサーのどちらかが欠けてしまったり、割れてしまうため、自分のセンスでセットを選びます。

上下が同じデザインではないので、型にはまらないリラックス感も生まれます。ポーセラーツ作品でも取り入れてみると、あなたの個性がより演出できますよ。

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アトリエブラン

緑のバラが、白磁のプレートに綺麗に映えますね。こちらの色は、3つのグリーンを混色して作られたそうです。絶妙な青みがかったお色です。繊細で緻密なタッチが美しいバラは、手書きで描かれていて、完成度の高さを感じますね。

緑色のみで描かれた、その名も「マリア・テレジア」という花束のデザインがあります。マリア・テレジアに窮地を救われたウィーン窯が、感謝の思いで捧げたとされていて、宮廷でも愛用されていたそうです。バラには「愛情」の意味が込められていて、白磁の白と、深いグリーンがお互いを引き立て合います。

作品の存在感を高めるためには、足すだけが良いとは限りませんよね。どこかにアクセントを置いたシンプルさこそ、理想の美しさを引き出してくれます。



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Rosery(ローズリー)

いかがでしたでしょうか。華やかで愛らしいバラを使ったポーセラーツ作品は、ヨーロッパの伝統あるアンティークの歴史にも繋がっています。優雅なストーリーに思いを馳せつつ、作品作りを楽しみたいですね。

時代を超えて愛されるバラをテーマに、あなたもきっと作りたくなる作品を次回もお届けします。どうぞお楽しみに♪