バラとポーセラーツ Vol.2|ときめく薔薇の花形



ポセナビでは、全3回にわたって「バラとポーセラーツの世界」をお届けしています。
第1回目では、薔薇モチーフが世界で愛される理由について、「ウィーンのバラ」をメインに歴史を交えてご紹介しました。

アンティークポーセリンの世界に触れて、「薔薇モチーフについて、もっと詳しく知りたい!」と思われた方も多いかと思います。

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バラはその繊細な花びらの様子や、エレガントな花の咲き方に魅力がありますよね。みなさんはどんなところに魅力を感じますか?

第2回目の今回は、白磁に描かれるバラのかたちに注目して、ポーセラーツ作品をご紹介したいと思います。

咲き方で印象が変わるバラのポーセラーツ作品

何気なく取り入れているバラモチーフは、その花形によって作品の印象が変わります。ポーセラーツ作品といっしょに見ていきましょう。

カップ咲き

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InfiniRose(アンフィニローズ)

落ち着いたお色ながら、背景までしっかり描きこまれた花々は、まるでローズガーデンを彷彿とさせます。全面貼りの施されたカップもプレートも、つなぎめは全く分かりません。ゴールドのラインはリムを美しく彩っていて、ノーカットな点にも技術の高さを感じます。

バラは大きく分けると、オールドローズとモダンローズに分類できます。
1867年以降、品種改良によって生み出されたバラがモダンローズで、それ以前の品種はオールドローズと呼ばれています。現在の花屋さんで売られているバラのほとんどは、モダンローズに分類されます。

こちらの作品で用いられている転写紙のように、花の形がティーカップのようなバラはカップ咲きと言われます。典型的なオールドローズの咲き方で、クラシックでありつつ豪華な雰囲気を演出してくれます。

ロゼット咲き

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Rosery(ローズリー)

紅白のバラはロゼット咲きで、花びらがいく重にも重なって、放射線状になっている花形をしています。平たい形で、外側ほど花びらが大きく内側は細かく小さくなるのが特徴です。花芯が見えないほど、たっぷりとした花びらで、作品に柔らかさや可愛らしい印象を与えてくれます。ティーポットの中央に配置されたバラがワンポイント。あえて華美なデコレーションをしないことで、優雅でありながらすっきりとしていて、作品としてのデザイン性が高まります。

高芯咲き

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うさくまサロン

色とりどりのバラが寄せられたティーカップは、穏やかな午後の日差しによく合いますね。ピンク、オレンジ、イエローと暖色系のバラは花束のようで、くつろぎの時間に特別感をもたらしてくれます。

高芯咲きのバラは、花の芯の部分が1番高くなっているタイプを指します。モダンローズの典型的な形です。

花びらが外側から広がっていくのが特徴で、バラと言われてイメージする方も多い形だと思います。花開く過程の姿が美しく、作品全体を格式高い高貴な雰囲気にしてくれます。

ルドゥーテの描いたバラで芸術性を高めて

ご紹介したように、バラとひとことで言っても、その種類はさまざまですね。
バラと言えば、フランスのルドゥーテという画家をご存じでしょうか?植物モチーフがお好きな方にとっては、親しみがあるかもしれません。

ルドゥーテは、「バラのレンブラント」と呼ばれています。マリーアントワネットに重用され、生涯に渡ってボタニカルアートを極めた宮廷画家です。花を愛し続けた彼の作品は、時代を超えて愛され、現在でも人々の心をつかんで離しません。

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Atelier Irodor(イロドリ)

縁に金彩の入った真っ白なプレートに、鮮明に描かれたバラがよく映えますね。余白に文字が入ることで、より洗練された品のある作品に仕上がっています。こちらのプレートでは、ルドゥーテのバラの転写紙が用いられています。まるで、プレートから花が浮かび上がってくるように見えませんか?

ルドゥーテが描く花は、輪郭線をできるだけ排除して、点の集合で影を表現しています。また、繊細な色彩のグラデーションも、立体感引き立つ表現に繋がっています。

特に、今回使われているモチーフは、ルドゥーテの『バラ図譜』という作品集を飾る最初の絵画です。ルドゥーテのバラには、植物画としての正確さがありつつ、芸術作品としての美しさが備わっています。ポーセラーツなら、その華やかで表情豊かな絵画の美しさをそのまま取り入れることができますね。

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InfiniRose(アンフィニローズ)

何種類ものバラが、1枚1枚センス良くあしらわれた華憐なタイルです。キッチンの壁面を飾るタイルとして作られています。上品な大人ピンクがエレガントで、バラ好きにとってはたまらない空間になりますね

ルドゥーテは『バラ図譜』の中で、世界中に咲く169点ものバラを描いています。非常に種類豊富ですよね。この作品集、実はナポレオン皇妃ジョゼフィーヌに捧げるために作られました。
ジョゼフィーヌは、「近代バラの母」とも呼ばれ、マルメゾンの城にバラ園を設けていました。当時、離婚で傷ついたジョゼフィーヌに、バラ好きの彼女を想ったルドゥーテが『バラ図譜』の制作を提案しました。

当時最高と言われたバラ園では、ちょうどバラの交配が行われていたため、ルドゥーテはオールドローズとモダンローズ、どちらの美しさをも描き残すことができました。
ジョゼフィーヌとルドゥーテのバラへの愛情、お互いを想い合う心が、色彩豊かで美しい作品集の完成に繋がったのかもしれません。



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SweetFairy

高貴なようで、時には可愛らしさや愛らしさを感じさせてくれるバラの魅力は尽きませんね。ポーセラーツで使われる転写紙には、多くのバリエーションがあるので、あなたの好きな形やスタイルで取り入れることができますよ。

次回は、そんなバラモチーフをふんだんに使ったポーセラーツ作品をご紹介します。あなたもますます作品に取り入れたくなるはず。お楽しみにしていてくださいね♪