これまで「バラとポーセラーツの世界」と題してお届けしてきたバラ特集も、今回が最終回です。
バラのモチーフは、ヨーロッパのドラマティックな歴史と重なるように、古来から愛されてきました。その気高さに惹きつけられる人は後を絶たず、アンティークポーセリンになった現在も私たちを魅了してやみません。
また、花の形や咲き方によっても、醸し出す印象が変わるのがバラならではの魅力です。
それぞれに個性があって、色や花びらの数もさまざまです。
ポーセラーツに用いられる転写紙としても、バラの柄には数多くのバリエーションがあります。
今回はバラを愛するサロンが生み出す、美しいポーセラーツ作品をご紹介します。サロンならではの、工夫を凝らしたセンス輝く作品に、「こういう見せ方もあるんだ」といった新たな発見もありますよ。
私たちのハートをつかんで離さない、細部にまでこだわり抜いたポーセラーツ作品をお届けします。
目次
変幻自在なバラで彩るポーセラーツ作品
１輪のバラを使うか、花束にするか、それとも…？
転写紙なら、テイストや素材もいろいろです。人気の高いモチーフだからこそ、アイディア次第で、あなただけのオリジナリティあふれる作品が作れますよ。
モノクロローズは大人でシック
バラはシルエットそのものがエレガントですよね。白抜きの転写紙に、ところどころブルーとピンクの色がさしていて、白磁の白によく映えます。あえて華美な装飾はせず、転写紙のみで構成されていて余裕ある落ち着いた雰囲気を感じます。
こちらの作品は、小さな葉や花をどのように配置するか、足し引きしながら考えて作られたそうです。洗練されたバラの良さが引き立つ作品ですね。
夏のリラックスタイムに小さな花束を添えて
クリアーなガラスのカップ＆ソーサーに、可愛らしいピンクの花束があしらわれています。丸みを帯びた器に、優しい色合いのバラがよく合いますね。
ガラス作品の場合、裏面からも絵柄の見える楽しさがあります。紅茶やハーブティーなど、透明なドリンクを入れれば、爽やかで涼しげな雰囲気をいっそう感じられるでしょう。
特別感あるおもてなしの1杯に
ローズペタルとは、バラの花びらのことです。バラの花びらには、多くの使い道がありますよね。ハーブティーなどの食用にしたり、乾燥させてポプリにしたり、贅沢にお風呂へ浮かべてみたり…いろいろな楽しみ方があります。
こちらの作品は、ローズペタルがカーペットのように敷き詰められたティーフォーワンです。ソーサーは転写紙を全面貼りして、カップやフタには花びらが舞い散るようにデザインされています。ポット部分にゴールドのカリグラフィーが入って、飲み物を注ぐ瞬間も絵になります。おうちアフタヌーンティーを華やかに演出してくれますね♪
マリー・アントワネットで優雅な気分に浸る
憧れのローズガーデン「プチ・トリアノン」
バラのモチーフと言えば、真っ先にマリー・アントワネットを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
マリー・アントワネットと言えば、一見きらびやかな世界を好む人物のように見えますが、実は花や草木といった自然に癒しを求める人でした。ヴェルサイユ宮殿の離宮に作られた理想の庭「プチ・トリアノン」は、一度は訪れたい観光地として有名です。
マリーは当時主流だった、形式的なフランス式庭園とは正反対の、牧場や畑などに囲まれた農村風景をプチ・トリアノンに再現しようとしていました。王室での窮屈な毎日から逃れようと、香り豊かなバラを植えて、友人や子どもたちと穏やかなひとときを過ごしていたそうです。
そんなユートピアの完成を前に、フランス革命が起きました。マリーの夢は道半ばとなりましたが、バラの庭を愛する世界中の人びとにとって今では理想の場所となっています。
バラ×プリンセスでロイヤルなポーセラーツを
マリー・アントワネットの世界に心惹かれる気持ちを、作品に落とし込んでみましょう。マリー・アントワネットにインスパイアされた、うっとりと眺めたくなってしまう、優雅なポーセラーツ作品をご紹介します。
つややかにきらめくデザートタイムに
ロココ調のピンクカラーに、美しいバラが咲くエレガントなショコラカップ＆ソーサーです。
最終焼成の際に、金彩を加飾しているため輝きが格段にアップしています。しかも、口元のスカラップや外側のフリル模様、さらにソーサーのリーフ柄まで、すべて手書きで描かれています。
表面全体にパールラスターをかけていて、高級感漂う仕上がりに。世界観が余すところなく表現されていますね。
ホットショコラには、冷めにくい高さのあるカップが最適です。チョコレートは、１６世紀以降にスペインからヨーロッパへと広まりましたが、当時では最高級の嗜好品でした。宮廷を中心に、ホットショコラ用の磁器が数多く生み出されたそうですよ。プリンセスな気分で味わってみたいですね♪
食卓を彩る高貴なペアプレート
気品あふれる佇まいのマリー・アントワネットが目を引きますね。デザイン違いのデザートプレートは、母娘である生徒さんが作られたそうです。小さなバラの転写紙を散りばめて使ったり、リムの内側に添うように配置してみたり、ポイントであしらってみたり…。どこに貼り付けるかで、作品から受ける印象がガラッと変わってきます。
テーブルコーディネートとして、好みの色のアンダープレートを取り入れるのも素敵ですね。西洋ではおもてなしの際に、家主の趣味を表現する場として「ショープレート」などとも呼ばれていました。
写真のように、ゴールドやシルバーカラーのプレートを重ねると、格式あるロイヤルな雰囲気が演出できますよ。
こよなく愛した「王妃の窯」でティータイム
ピンクの大きなリボンに中央のブーケが印象的ですね。マリー・アントワネットの庇護を受けた窯として有名な、「レーヌ窯」を彷彿とさせます。可愛らしくも、上品でフェミニンなカップ＆ソーサーです。4客それぞれに手書きでの絵付けが施されていて、デザインの違いも楽しめます。
レーヌ窯は、18世紀後半のわずか30年ほどしか存在しなかった「幻の窯」です。マリーアントワネットの加護を受けて「王妃の窯」とも呼ばれます。
レーヌ窯は、ロココ様式からネオクラシカル様式のコレクションが有名で、当時から人気のあった薔薇モチーフを中心に、女性らしさや優美さをたたえた花が描かれていました。
なんだか、18世紀のヴェルサイユ宮殿にタイムスリップしてしまいそうですね。
全3回にわたってお送りしてきた、「バラとポーセラーツの世界」はいかがでしたでしょうか。
私たちを魅了してやまないバラのモチーフとしての魅力を、少しでもお伝えできていれば幸いです。
エレガントな魅力あふれるバラをぜひあなたの作品にも♪
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