【デザイン集】2版のふたもの|ポーセラーツインストラクター課題


上絵の具を使ったマスキングとスポンジングという作業にも慣れてきたころ、この課題「2版のふたもの」が登場します☆

「ステンシルのふたもの」と呼ばれることも多い課題ですが、この課題のポイントは、なんといっても、多版で制作するという点にありますので、ここでは「2版のふたもの」と呼ぶことにします。

前回までに学んだマスキングは、絵の具を乗せたくない部分を覆う作業、それに対してステンシルは、絵の具を乗せたい部分を切り抜いて型染めをする作業になります。
もちろん、使う材料が異なりますので、それらの扱い方の違いについても習得する必要がありますね。

今回は、2版をどのように使い分けているのか、そのあたりに注目しながら参考作品を見ていきましょう!

2版のふたもののデザイン|版を分ける必要性

今回の課題のポイントは、多版であることだと説明しましたが、多版に分ける必要のない絵柄を使うのではなく、多版でなくては実現できないデザインを採用するということが必要な条件になります。

では、多版でなくてはならないデザインとはいったいどんなものでしょうか

まず、違う色の形が隙間なく隣接しているデザインは、一回の焼成では表現しにくいものです。また図版が重なっているもの。これも多版の必要性があるデザインといえます。

ステンシルらしさが生きる2版のふたもの

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サロンmii

まず初めにご紹介するのは、淡いパンジーの色合いが可愛らしいこちらのふたもの。

ステンシル×スポンジングという技法ならではの、ふんわりとした着色感が花びらの薄さをも感じさせます。少し重なり合った花びらの部分も、下になった色がうっすらと透けて見えて、ほんのり立体感を感じますね。

モチーフ選び、色味、グラデーションの様子など、どこをとっても、ステンシルの良さを引き立てたデザインといえるでしょう。

同じ版を重ねた2版のふたもの

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coco amitie

桜のモチーフをかたどったステンシルを使い、色を変えて重ねた作品です。

ステンシルシートは何度も同じものを使うことができますから、大小のサイズ違いをいくつか用意すればレイアウトも楽ですし、形のずれがない分、デザインに統一感を与えることができます。

花の中心部にはスクラッチの技法が使われているのでしょうか、桜らしい、すっとした佇まいが感じられますね。

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ローズコラーユ

こちらも、ステンシルの同じ型を使って違う色を重ねた作品です。

ふたの直径に合わせてデザインされた図版を切り抜き、そのステンシルをずらして彩色することによって、変化と深みの両方を演出することができますね。
ふた部分だけでなく、側面にも同じ図版を使えば統一感もUP!

多版らしさを追求した2版のふたもの

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mon amie 〜モナミ〜

こちらは、先生が課題の説明を兼ねてお見本として制作された作品です。

左側の写真が、1回目の焼成時。
転写紙のお花に肌色がかからないようにステンシルシートを作成し、スポンジングで彩色したのちパールのネックレスをスクラッチで表現し、焼成。
そのあとに黒の髪や帽子、ドレスなどを重ねられています。帽子の模様はスクラッチで。

どの技法をどの部分に用いるか、また、どう版を分けると作業しやすいかなど、今回の課題も考えることがたくさんありますが、こうして作業工程を分解して見せて頂くと分かりやすくて有難いですね♪

隣接する色同士が美しい2版のふたもの

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うさくまサロン

異なる色同士がピタッと隣接しているデザインをきれいに仕上げるには、ステンシルシートを寸分たがわずカットすることが大事☆
黄色と赤、ピンクと赤、というようにハッキリした色同士はなおさらのこと、丁寧な作業が求められます。

この作品のように、ズレを出さず、きれいに発色させるためには、作業前の計画性と作業中の根気、どちらも必要ですよ♪

和柄と市松模様が引き立てあう2版のふたもの

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Pearluxeパーリュクス

この作品はなんといっても、構図の妙独特の色合いが魅力の作品です。
すべてのモチーフが裁ち落とされているにもかかわらず、それぞれの特徴を見事に捉えたデザインで、モチーフの魅力を最大限に魅せています。

ひとつひとつの花が持っている個性や色味を生かしてレイアウト。深みまで表現したスポンジングの彩色加減も美しい!

側面の市松模様は単色転写紙を使われたとのこと。スポンジングとは違った、パキッとした仕上がりになる転写紙ので市松模様を表現することで、ふたの花の技法との対比が生まれ、お互いに引き立てあうデザインとなっています♪

手描きワークでランクアップした2版のふたもの

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Mary

蓮の花をステンシル×スポンジングで見事に表現!
細かいところもきれいにエッジが出ていますし、絵の具の濃淡もモチーフに合った表現がなされていて素敵です。

側面には手描きでモザイクをあしらって。色調の感じも蓮の花と相性よく仕上げられていますね。
手描きモザイクは、スキルアップレッスンでも人気の技法ですから、ぜひ早い段階で身に付けておきたいテクニックです!

焼成温度の違いで版を分けた2版のふたもの

Pearluxe20161207
Pearluxeパーリュクス

ルブタンをモチーフにしたモード感あふれるこちらは、美しい「赤」にこだわった作品です。
実は、レッド(鉄系)の上絵の具は、800度で焼成するより750度で焼成したほうが「赤み」が強く出るという特徴があるため、今回は、赤い部分を750度焼成で制作されたとのこと。

そのため、800度で焼成すべき部分を先に、750度で焼成する赤の部分を最後に焼成するという分け方で、版分けをしています。

色の面積や濃さではなく、温度で版を分けるという方法、覚えておいて損はなさそうです。

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ここまで、ざっと「2版のふたもの」のデザインをご紹介しました。課題も、単純な工程から複数回焼成するという段階に入りましたね。これからは、これまでより幅広い技法を使ってより自在なデザインが可能になったのではないでしょうか?

今後の皆さんのカリキュラム作品作りの参考になればと思います!

デザイン集記事の一覧ページはこちら
>>>『【デザイン集】ポーセラーツインストラクター課題(目次)』

ポーセラーツインストラクターに関して、詳しくは以下の記事でご紹介しています。
是非ご参考になさってくださいね♪

>>>『ポーセラーツインストラクターのカリキュラム課題とは?』
>>>『ポーセラーツインストラクター資格とは』