みなさま、ごきげんよう!
アトリエシュガーミルの柴山です。
ついに、今回が最後になってしまいました。
コラム執筆のご依頼をいただいた時には、飛び上がるほどうれしかったのですが、実際に書き始めてみると、「あれもこれも、伝えたい……」という気持ちが先走ってしまい、「なんだか解説書のようで、読んでも楽しくないのではないかしら? これで本当にいいの?」と、不安がよぎりました。
コラムは文字数に限りがありますので、何もかも詰め込むことはできませんが、日々のレッスンでは転写紙や絵の具の技術はもちろん、白磁や絵付けの歴史から、はては怪しげな錬金術、英国ヴィクトリア女王のアルバート公への愛のお話まで雑談を交えてお伝えしています。これが絵付けに繋がってくるからおもしろいのです。
転写紙プラスアルファの技術
さて、コラム最終回はやはりポーセリンアートの集大成として、転写紙プラスアルファの技術をご紹介します。
オンディキャールメディウム
まず、最近日本ヴォーグ社より発売された【オンディキャールメディウム】です。
これは、転写紙の上に絵の具で絵付けをする際のメディウムですが、もともと一度焼成してから乗せていた絵の具を、一度の焼成で可能にする画期的なものです。
これを使えば、【転写紙の上に絵を描く!】が一度にできるわけです。
お写真を掲載したマカロンタワーは、結婚のお祝いに人気の作品ですが、一度の焼成で制作しています。
アウトライン転写紙
もう一つ、転写紙を使って本格的な絵付けを楽しめるのがアウトライン転写紙です。
こちらは一度アウトライン転写紙を焼き付けてから絵付けをするのですが、消えない下描きとしての機能と、細かい線描きの必要がないという二つのメリットがあります。下の画像はアウトライン転写紙に描くヘレンド風カップです。
ポーセラーツのその先の資格として、今とても人気があるものです。有田の柿右衛門風や古九谷も、こちらの転写紙を使って楽しむことができます。
愛するポーセリンアートの世界
気づけば絵付け歴は20年を超え、転写紙に出会えたことで、絵付けだけだった私の世界が何倍にも広がりました。「ポーセラーツとチャイナペインティング、どっちが好きですか?」と、よく聞かれるのですが、「どちらも好きです!」としか答えようがありません。
レッスンの中でも両者を区別していないので、絵付け作品の加飾に転写紙を使うこともたびたびですし、逆ももちろんあります。ポーセラーツインストラクターのカリキュラムが、後半ほとんど絵の具になるように、転写紙と絵の具、手描きは、区別ができないものです。それらを自分の感性で組合わせ、どちらでもない『総合ポーセリンアート』が私の愛する世界です。
私が主宰するアトリエシュガーミルは、ポーセリンアート1本のお教室です。転写紙からスタートしても、手描きから入っても、学ぶことは尽きないからです。生徒さんはそれぞれ違うことをしているようでも、色々な技術でつながっています。
「あれもやってみたい」「これも描いてみたい」そんな生徒さんの気持ちがずっと続くよう、これからも、私自身学び続けていきます。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。