第3回「10年後も輝ている、教室であるために」

今回は、色々な賞を受賞していますコンクールの作品の事について書かせて頂きます。
私は度々コンクールに出品していますが、コンクールに作品を出すと言う事を皆さんはどの様に考えていらっしゃいますか?

私は評価よりも、コンクールに出す為の「作品を作る事」が大切と考えています。
応募した作品がどの様な評価を頂くかはあまり問題視していません。
コンクールに向けて一つの作品と真剣に向き合う作業は、自分自身の技術をグッとアップさせてくれると感じています。

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普段は何気なく作ってしまう作品も、コンクールに応募するとなるとチョッと考え方が変わりませんか。
白磁の選び方、デザイン、レイアウト、テクニックなどたくさん悩みます。テーマに合わせてデザインを頭の中でまとめてデザイン画を紙に描き始めます。
絵付けの場合も転写紙もこの作業には変わりはありません。一番時間が掛かり悩む時間です。
画用紙に鉛筆を使い何度も描き直しながら、納得のいくところまで時間を掛けてデザインします。
そしてある程度納得ができると絵の具を使って図案に色を入れ、次に細かなテクニックを盛り込んで作品の元絵を作ります。

盛、金、金下マット、スクラッチマットホワイトなどをどの部分に使用するのかまでを考え、焼成回数、技法の適切な焼成温度などを組み入れて作品制作の手順を決めます。
紙の上に描くのとは違い、焼成を伴う白磁作品は、この手順の組み立てがとても大切になります。
焼成が終わってから、あっ!!ここにこの技法を入れればよかったと思い、その都度加えていたのでは何度焼成しても完成しません。
コンクール作品と言っても、焼成回数の増やし過ぎは白磁器へダメージを与えますので、なるべく焼成回数を少なく色々な作業を組み込む為に、この時点での手順の組み立てがとても重要と考えています。

こんな経験はありませんか?
盛りが大好きだから、1回目の焼成で盛りを入れて、その後高温で2回焼成をしたら盛りが取れちゃった~。
これは、高温で焼成を繰り返す事で釉薬と盛りの接点が溶けて固まってを繰り返す事でひずみが生じて剥がれてしまう事のようです。
焼き上がった直後には大丈夫でも、何度か使っているうちに盛りが剥がれてしまう恐れもあります。
そうならない為にも、確りとした温度管理のもとに焼成を繰り返す事が大切です。
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この様な組みたて作業は、インストラクター卒業制作でしかした事がないわ。そんな方も多いと思いますが、一度だけの経験ではなかなか身にはつかない物ですね。
そこで、生徒の皆さんにはインストラクターになられた後も時間を作ってコンクールへ挑戦する事をお薦めしています。
じっくりと作品に向き合う事は、毎日ブログなどでご報告するような進み具合は無い物ですが、必ず自分自身の成長につながると私は思っています。

生徒の皆様にご指導する時に思う事があります。
どんなに一生懸命にお教えしたとしても、私が今持っている技術の100%を出してのご指導は出来ていません。
決して手を抜くわけではありませんが、生徒様の前でお見せ出来るのは60%から70%出すのが精一杯な物です。
そうであれば、元の100%の力量を高めれば、60、70の力でも生徒様に納得して頂けるはずと思います。
色々なクラフトが流行り、教室運営の為に色々と頭を悩まされている方も多いのではないですか。

色々なクラフトを提供する教室作りも一つの選択肢ですが、私は10年後もポーセラーツで輝いていたいと思うので、今もこれからも自分の技術を磨き続ける事を大切にしていきたいと考えています。


■コラム執筆者のプロフィール

神奈川・鎌倉市でポーセラーツサロン「鎌倉山 Natural Tone」を主宰。
チャイナペイント、白磁ペイント、トールペイントの資格も取れる教室として、転写紙と上絵の具両方の技術をしっかりと学べるサロン。
生徒様ご自身の「自分らしく」「ご自身の好きを大切に」個性を伸ばす事に拘りながら 技術と知識、そして他のマネではない作品が出来上がるようご指導している。
日本橋生まれの気さくな江戸っ子気質のまま、「何度でも解らない事は尋ねられる」「時間を気にせず作品を作れる定額制」のレッスンを開催している。

2007年 ポーセラーツコンクール優秀賞 ・ ペイントクラフト賞 技術賞
2008年 ペイントクラフト賞 NVサンアート賞
2009年 ポーセラーツコンクール 手描き部門 大賞
2013年 キルンアートコンクール 転写紙部門佳作・手描き部門NVサンアート賞  他数受賞
白磁ペイントカリキュラム委員本部講師 、 キルンアートオンライン講座担当 など 日本ヴォーグ社テキスト、カタログ等掲載作品多数
2016年 大倉陶園 チャイナペインティングスクール卒業

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